各宗派の五輪塔の造塔数の多さから、五輪塔は宗派を超えて受け入れられたといえる。仏教史的に、「よいものを選び他を排除する」という合理的な考え方は、日本での五輪塔の普及時期より後になる親鸞や日蓮の登場を待たなければならない。それ以前では、プラス思考といわれる東洋哲学に従えば「よいものは取り入れる」と考えた方が五輪塔の普及を理解しやすい。親鸞や日蓮が登場した時代には五輪塔はすでに普及しており、浄土真宗や日蓮宗が五輪塔を使うことから、教義との問題もなかったようである。本来五輪塔の形や五大の思想は、日本から見ればインド伝来の仏教的思想であり、仏教各宗派には受け入れやすいものといえる。
念仏を主体にする宗派には、密教の三密の口密が五輪塔に彫られた真言を死者が唱えることになるとすれば、念仏(南無阿弥陀仏や妙法蓮華経)を五輪塔に彫れば念仏主体の五大を表す仏塔となる。墓に入った死者が善行として念仏を唱えるということになる。(詳しくは三密の元になったといわれるインドの業思想の三業を参照)また、密教の真言を使わずに、五大を漢字(地水火風空)で書くことも宗派的な捕らえ方である。
しかし、梵字のある五輪塔や板卒塔婆はあらゆる宗派で使われており宗派を超えて受け入れられたといえる。それは日本での五輪塔の解釈に影響の大きい「五輪九字明秘密釈」の根拠が遠くインドや中国の思想にあり、とても難解な文章といわれ、理解することも難しく、「なにか良くわからないけどありがたい」という仏教というよりは民間信仰や、民俗学的なものとして受け入れられてきたといえる。五輪塔の神秘的部分が民間に宗教的なものとして受け入れられたということである。これは五輪塔と同時期に仏教的な明快な意味(滅罪や延命)を持つ仏塔として作られだした宝篋印塔と比べ、五輪塔の普及が広く民間にまで及び、造塔数が他の仏塔に比べ桁外れに多いことが物語る。現代の五輪塔や板卒塔婆も意味を知って使っている人は少なくこれに近いといえる。
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五輪塔の影響 [編集]
五輪塔の形が他の仏塔に影響を与えた例をあげる。国東塔(くにさきとう)を例にあげておく。国東塔は本来宝塔であるが、時代を経る中で五輪塔化した形態がみられるようになる。五輪塔化した宝塔は全国的に存在するという。五輪塔の風輪、空輪の部分が相輪に代わり宝塔になる。